猫の視線が通う家へ。室内窓とキャットステップでつくる“高所の回遊路”。#column
新しい住まいで猫と暮らし始めると、すぐに気づきます。猫は「床より上」から家を見ていることに。
床置きのタワーも便利ですが、せっかくなら建物そのものの“高さ”を居場所に変えてみませんか。鍵は、室内窓とキャットステップ。視線が抜けて、空気がやさしく動き、逃げ道も確保された“上の動線”ができると、猫も人も落ち着いて過ごせます。
この記事では、考え方の基本から寸法の目安、安全や掃除のコツ、年齢に合わせた調整、段階的な導入方法までを、やさしい言葉で整理します。
この記事を読めばわかること
・猫が安心できる環境の三要素(高い位置・見通し・逃げ道)
・室内窓の設計ポイント(位置・サイズ・ガラス・カウンター出幅)と通風の考え方
・キャットステップの寸法・耐荷重・配置パターン・固定方法の基本
・年齢・性格・頭数に合わせた“ちょい足し”の調整例
・掃除とメンテを続けやすくする素材選びと照明の注意点
・空調・換気と“上の動線”を両立させるコツ
・小さく試して観察し、固定する段階導入の流れ
・計画時に見落としやすいチェックポイントと対策

1|設計の出発点は「高い位置・見通し・逃げ道」
まず大事なのは、この三つです。
(1)高い位置:周囲を見渡せると安心して長く滞在します。
(2)見通し:室内窓や吹き抜けで、家族の気配をゆるく感じられると落ち着きます。
(3)逃げ道:行き止まりは緊張のもと。少なくとも二方向に抜けられるルートを用意しましょう。
「見渡す(室内窓のカウンター)→移動する(ステップ)→休む(少し広めのポイント)」がゆるく循環すると、人の動きともぶつかりにくく、日々の使い勝手が安定します。
2|室内窓は「景色と風をシェアする装置」
位置とサイズ
・下端は床から1,100〜1,300mmが目安。座っている人と目線が合い、猫も居心地よく過ごせます。
・幅は家具や通路の邪魔にならない範囲でできるだけ広く。細長い横連窓でも効果は十分です。
下部カウンター
・出幅は200〜240mmが扱いやすい基準。座る・寝そべる・方向転換が無理なくできます。
・表面はメラミンや耐汚コートの突板など、水拭きで戻せる素材が安心。角は指が当たっても痛くないよう、やさしいRに。
ガラスと通風
・安全面を優先するなら強化ガラス。軽さや割れにくさを重視するなら透明ポリカも選択肢。
・視線をやわらかく通したい場所はフロスト(乳白)を。気配は伝えつつ、生活の細部はぼかせます。
・室内窓は温度差をやわらげる“空気の抜け道”にもなります。近くに給気口やドアスリットがあると、エアコンの負担を増やさずに空気が回ります。
3|キャットステップの寸法と並べ方:体に無理のない数値から
寸法の目安
・奥行:20〜24cm(前縁は丸める)。着地や方向転換に必要な最小限を確保。
・幅:30〜40cm(体格やジャンプのクセに合わせて調整)。
・段差(上下ピッチ):25〜30cmが基準。子猫は20〜25cm、シニアは15〜20cm+短いスロープ併用が安心。
・耐荷重:1枚あたり10〜15kgを目安に。金物と下地の条件で決めます。
配置のコツ
・Z字/U字/L字などで「上→横→上」と進める配置にすると、ためらいが減ります。
・始点と終点をソファや本棚の天板など既存の“足場”につなげると、暮らしの動線になじみます。
・換気扇やシーリングファンからは50cm以上離し、熱源や水回りの真上は避けます。
固定の基本
・下地(間柱・胴縁)に確実に効かせるのが鉄則。石こうボードアンカーだけでの固定は避けましょう。
・棚受け金物は見える場所でもすっきりしたものを。将来の増設・撤去を見据え、ビス位置をそろえると、穴の補修が最小限で済みます。
4|“逃げ道”と“休憩所”はセットで考える
上へ登る途中に、少し広めの休憩ポイント(出幅200〜240mm、幅400mm以上)を入れると、追いかけっこの衝突を防げます。室内窓の左右どちらにも降りられる二方向ルートを基本に。多頭飼いなら、正面で見合いにくい角度の分岐を一か所つくると安心です。
5|年齢・性格・頭数で“ちょい足し”調整
子猫
・勢いよく飛びがち。ピッチは20〜25cmに下げ、表面は適度に滑りにくい仕上げに。短いスロープを混ぜると覚えやすくなります。
おっとり成猫
・25〜30cmピッチで問題なし。幅を少し広げると安心感が増し、滞在時間も伸びます。
シニア
・15〜20cmピッチ+短いスロープ(勾配15〜20°)を併用。着地点のラグで滑走を防ぎ、室内窓のカウンターは一段広めに。
慎重派・怖がり
・まずは低い水平ステップを壁際に連ね、室内窓に近い側から少しずつ高さを上げます。見通しの良さを優先。
運動好き
・縦方向に長く取り、水平ステップの間隔をほんの少し広げて“上で回遊”できる形に。
多頭飼い
・合流と離脱のポイントを二つ以上。交差部には広めの休憩所を入れ、鉢合わせしにくい角度で枝分かれさせます。
6|掃除とメンテの仕込み:続けられる工夫を最初に
・棚板は外して拭けるもの、または水拭きで戻せる仕上げ(メラミン、硬質ウレタンなど)に。埃がたまりやすい上面は角を落として掃きやすく。
・室内窓のカウンターは輪ジミが出にくい素材が安心。植物を置くなら受け皿+トレーで“伝い漏れ”を防ぎます。
・照明の真下は虫が集まりやすいので、ステップや休憩所は20〜30cm外して配置。
・年1回の点検項目を固定:ビスの緩み/面材の反り・欠け/滑り止めの摩耗/近くの配線との干渉。
7|空調・換気と“上の動線”を両立させる
・暖かい空気は上にたまります。サーキュレーターを壁や天井に当てて循環させ、室内窓を開けて空気の抜け道をつくると、上部のこもりを抑えられます。
・エアコンの直風が休憩ポイントに当たらないよう、ルーバーの向きや角度を調整。偏った暑さ・寒さを避けることが、滞在時間の伸びにつながります。
・24時間換気は止めない前提。近くに吸気・排気のどちらかだけがあると、局所的に冷気が降りることがあります。休憩所を少しずらして対応しましょう。
8|安全は設計段階でしっかり確認
・下地探し(センサー・探針)は早めに。図面に“効くライン”をメモしておくと、変更にも強くなります。
・角はR処理、前縁はやわらかなアール。滑り止めは段差をまたぐ部分だけ薄手にして、足裏の引っかかりをコントロール。
・室内窓のガラスには飛散防止フィルムを。電気コードや吊り下げ照明と交差しないよう、取り合いは事前に確認します。
・キッチンの熱源、大型の陶器鉢の落下経路、掃き出し窓の開閉軌道からは距離をとりましょう。
9|小さく試す→観察→固定:段階導入の流れ
ステップ1:仮ルートの試運転(2〜3日)
・既製の低ステップ2〜3枚+床置きタワーで「上→横→上」の最短ルートを作り、通行頻度やためらう場所を観察します。
ステップ2:高さの“当たり”を決める(1週間)
・よく通る高さ、長くとどまる位置、避ける位置をメモ。動画で見るとクセがわかりやすいです。
ステップ3:半固定→本設へ
・“当たり”の高さだけ下地に固定。動きが安定してきたら、室内窓下のカウンターを幅広にし、棚板を取り外し可能タイプへ。見た目となじみが両立します。
10|よくあるつまずきと、すぐ効く対策
・行き止まりで詰まる→二方向に抜ける分岐を必ず一か所。
・段差が大きい→子猫・シニアはピッチを下げ、短いスロープを混ぜる。
・掃除が続かない→外せる棚板、拭ける素材、埃のたまりにくい形へ見直す。
・熱や風が直撃→エアコンの風向、照明の熱、直射日光を事前にチェック。
・固定が弱い→下地へ確実に固定、金物を増やす、ビスのピッチを詰める。
・家族の動線と衝突→始点・終点を家具の上に取り、廊下や家事動線をまたがない配置に。
11|間取り別の置き分けアイデア
LDK一体型
・リビング壁:室内窓+連続ステップで、テレビから距離を取りつつ見晴らし席へ。ダイニング側へ抜ける分岐を一か所つくると回遊が安定します。
ワークスペース併設
・デスク背面:視線が交差しない高さに室内窓。作業の邪魔をせず、気配は伝わります。
縦長の廊下
・突き当たりの採光窓を室内窓に変更。廊下側から“上の回遊路”で抜けられるように。照明は壁をやさしくなでる間接光が合います。
階段吹き抜け
・手すり外側には沿わせず、壁側にZ字で。階段の上り下りと交差しないよう、休憩所は踊り場横に置きます。
まとめ
“上の動線”を整えると、猫の安心と家の景色が同時に良くなります。
室内窓で視線と風をつなぎ、キャットステップで回遊できるルートをつくる。
二方向の逃げ道と途中の休憩所を忘れない。
寸法は無理のない範囲から始め、下地にしっかり固定する。
小さく試して観察し、“当たり”の高さだけを本設にする——この順番なら、猫も人も自然と続けられます。
新居の“高さ”を、安心の居場所へ。今日から一歩ずつ、整えていきましょう。
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