二世帯住宅を考え始めたあなたに伝えたい「お金」と「暮らし」のリアル#column

この記事を読めば分かること

• 二世帯住宅にかかる費用（タイプ別・土地の有無別）
  
• 家族の暮らし方に合った間取りの選び方
  
• 建築費を抑えるための具体的な工夫
  
• 実際に住んでわかった「見落としがちな注意点」
  
• あなたにとってベストな家の考え方
  

はじめに：それは、ひとつの椅子から始まった

「そろそろ、こっちに住もうかな」
夕食後、父がつぶやいたその言葉が、家づくりのすべての始まりだった。

夫婦と子どもたち、そして高齢の親。
暮らしはにぎやかであたたかいけれど、空間はだんだんと狭く感じられた。
ひとつのダイニングチェアを誰が使うか、ちょっとした遠慮が生まれる。
そんな日常の中で、「二世帯住宅」という選択肢が現実味を帯びてきた。

でも、わたしたちが最初に突き当たったのは、やはり「お金のこと」。
そこで今回は、これから家族で暮らしを作っていくあなたに向けて、
二世帯住宅の費用とリアルな選び方について、まっすぐにお伝えします。

第1章｜「土地はある？ない？」それだけでスタートラインが変わる

家を建てようとしたとき、最初に考えるべきこと――
それは「建てる場所がもうあるかどうか」です。

■ 土地がある場合：建物費用だけで済む

すでに親世帯が持っている土地を使えるなら、大きな強みになります。
たとえば建築費が3,500万円で済んだとしても、土地を新たに購入する場合はそこに1,500万〜3,000万円が上乗せされます。

つまり、**土地ありの二世帯住宅は、スタートから“1,000万円以上お得”**になることも。

■ 土地がない場合：総額は5,000万円を超えることも

「駅近で通勤に便利なエリア」「子育てしやすい環境」などを求めると、土地代は大きな負担に。
都市部では坪単価が高く、30坪の土地だけで2,500万円を超えるケースも珍しくありません。

第2章｜暮らし方の違いが、“間取り”と“費用”を大きく分ける

二世帯住宅には、家族の関係性やライフスタイルに応じて、主に3つの間取りタイプがあります。

◉ 完全共有型：ひとつ屋根の下で暮らしをすべて共にする

• キッチン、リビング、浴室など、すべてを共有
  
• 昔ながらの「大家族の家」のようなスタイル
  

費用目安：2,500万〜3,000万円

向いている人：

家族のつながりを日常的に感じたい人
介護や育児を日常的に協力したい人

注意点：

プライベート空間が少なく、生活リズムの違いでストレスが生まれやすい

◉ 一部共有型：生活の一部を分ける、距離感重視スタイル

• 玄関は共有し、キッチンや水回りは世帯別に設置
  
• 「会おうと思えばすぐ会える」が叶う家
  

費用目安：3,200万〜4,200万円

向いている人：

親世帯との関係は良好だけど、干渉されすぎたくない
プライバシーも大事にしたい夫婦世帯

注意点：

音や共有部分の使い方でトラブルになることも。ルールづくりが大切

◉ 完全分離型：お互いに「独立」しながら暮らす設計

• 玄関もキッチンも水回りも別々
  
• 外観はひとつ、実質は2軒の家
  

費用目安：3,800万〜5,500万円

向いている人：

将来は片方を賃貸に回すなど、柔軟な選択を残したい
生活リズムが大きく異なる世帯（夜勤・早寝など）

注意点：

費用は高く、敷地も広く必要。設計次第で固定資産税も高額になることも

第3章｜建築費を抑える5つの工夫【プロに聞いたリアルな方法】

「このまま建てたら予算オーバーです」
設計段階で営業マンにそう言われたとき、わたしたちが見直したのは次のポイントでした。

① 水回りを上下階でまとめる

→ 配管が短く済み、施工費も20万円〜50万円カット可能

② シンプルな形の家にする

→ 複雑な外観や屋根は、職人の手間も材料費も増加。正方形や長方形がベスト。

③ 不要な部屋をつくらない

→ 「一応つけた和室」や「誰も使わない客間」は、あとから後悔のもと。

④ 外構や庭はあとまわし

→ 家が完成してから整備すれば、必要な範囲だけに絞れて無駄がない。

⑤ 設備のグレードを見直す

→ 最新家電より、実用性。キッチン・風呂の「選び直し」で100万円節約できることも。

第4章｜「設計の成功」は、暮らしてから実感する

家が完成して2年。わたしたちはこう思っています。

「完璧じゃなくてもよかった。必要な距離感が守れてる、それが一番」

孫がリビングを走り回る音に、父はいつも耳を傾ける。
妻が帰宅する時間に、母はさりげなく炊飯器を予約する。
でも、寝るときは、別の玄関・別のリズム。
それが、お互いにとって心地よい。

“家を建てた”のではなく、“家族がひとつのチームになった”ような、そんな感覚です。

まとめ：あなたの家族だけの「ちょうどいい暮らし」を見つけよう

家づくりに正解はありません。
でも、「どう暮らしたいか」が明確になれば、あなたにとってベストな選択肢は必ず見えてきます。

二世帯住宅は、「助け合い」と「自立」のバランスをどうとるか――
それを形にする家です。あなたの家族には、どんな距離感がちょうどいいですか？
その問いの答えが、未来の安心につながる「家のかたち」になるのです。

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